開発秘話

魅力あるデザインを活かし、想いを一つずつ設計でカタチに。

株式会社日南[神奈川県]
設計 / 展示会モデル制作
  • 開発本部 機構設計 アシスタント チーフ エンジニア
    袴田宣克
  • 開発本部 機構設計 主任技師
    柿崎吉孝
  • 営業本部 営業部 統括課長
    中野秀雄
  • デザイン本部 デザインスタジオ チーフ デザイナー
    横井宣和

local_offer開発課題

デザイン性の観点を取り入れながらいかに強度も保つか

袴田プロトタイプとは、デザインや使用感、機能が要求を満たしているかを確認するために作る試作品のことです。デザイン本部が仕上げてくるのは、いわば平面のデザイン。そこに、必要な部品を設計し、求められる機能を実現するための素材を加え、平面のモノにどんどん肉付けして実機に近づけていくのが私たちの仕事です。

柿崎CoRoCoは運搬ロボットで100kgの重量に耐えられることが要件としてあったので、いかに台車に強度を持たせるかは検討を重ねる必要がありました。設計を考える際には性能や品質、操作性等、多くの観点がありますが、そこにデザイン性の観点も取り入れなければなりません。アイデアベースから開発設計まで一連の流れでサポートできるのが弊社の強みですから、デザインはこだわりたい部分。ですが、たとえば、いくらかっこいいからと言って5mmしか厚みのないプラスチックカバーを台車に付けても100kgの重量には耐えられないわけです。そのようなときはデザイナーにフィードバックし、調整してもらうこともあります。

横井たまに熱い議論に発展することも。こうしたデザイナーと開発のやり取りは、プロダクト全般の“あるある”ですね。ただ、弊社のデザイナーと開発の担当者は日頃から距離が近く、CoRoCoの開発支援に携わった私たちもお互いに求めている意図が汲み取りやすい。とことん話し合い、双方が折り合いをつけてベストな選択をしてきたからこそ、これまでも良いモノづくりができてきたのだと思います。

local_offer開発工程

部品を詰め込み立体的に。何枚もの図面を作成

柿崎設計・製図力を高めるためには、図面から実機をイメージできる立体感覚を磨いていくことだと思います。お客様のニーズやデザイナーの意向を考慮し、狭いスペースに部品をうまく詰め込んでいく。使用しているのは部品同士がぶつからないようにきちんと計算してくれる優秀なソフトウェアですが、間違いのないように、それこそネジ1本入れる位置や深さまで気を使っています。

また、使用する環境や機能などに合わせて最適な素材を探したり、表面処理を考えるのも大切な仕事。このように決め込んでいき、1つのパーツごとに図面を作成していくんです。CoRoCoは最終的に50枚程度の図面に納まりました。図面ができあがったら資材調達し、届いた部品で自ら組み立てます。

袴田最後まで試行錯誤を重ね、組み立てたモノをテストし、問題なく動いたときはほっとするものです。

横井一番大変だったのは、連結のスライド機構だったでしょう?

袴田CoRoCoは何台も連結して使えるタイプですが、本体が丸みを帯びているためレールの加工がとても大変になります。正直「やっかいだな」と思いましたが(笑)、CoRoCoの愛らしい印象を左右するほどの重要な要素。部品中心に考えるのではなく、デザインを活かすための全体最適を考えてベストな方法を探るのが弊社開発チームの使命ですから。

チームワークと熱意で量産設計とモックアップ製作を同時進行

中野実は今回、2つのモックアップを製作してほしいとTBMさんから依頼がありました。ひとつ目は、今まで話してきた“ホットモックアップ”。動作をチェックするために中身まできちんと設計しなければなりません。対して、私が担当したのは“コールドモックアップ”と呼ばれるもので、こちらは展示会出展用に見映え重視で作りました。動かなくてもいいコールドモックアップなら、本体の中身は重石でも何でもいい。

ただ、展示会ではこれが広告・宣伝の役割を果たしますから、臨場感を重視し、なるべくデザイナーが考えた意匠を崩さず多少は動かせるようにしています。正直、展示会までのスケジュールが厳しく、細かく設計する時間がないほど。以前は現場でモノづくりに携わっていた私と今回は、グループ会社の(株)ウイント総合センターの知見で完成させたようなものです。

横井スケジュールについてはTBMさんから事前に相談がありました。量産に向けての設計 / モックアップ2種の製作。これらを同時に進行するにはどうしたらいいのか、と。そこで、モックアップに関してはコールドの全製作とホットの進行管理を含め、中野に全体の指揮をとってもらうことを前提とした、弊社ができる限りお手伝いできる最善の方法をご提案したのです。

柿崎コールドモックアップは、いわば展示会用のスペシャル版なのでコスト等は気にしない感じです。一方、量産設計はコストの他にも法規や生産性の面もきちんとクリアしなければならず、一口に“設計”と言ってもまったく違う観点が必要です。

local_offer完成・未来に向けて

すべてに手を抜かず、お互いの役割を果たす

袴田量産については新たな図面を用意しました。柿崎の図面に描かれた部品をどうやって量産するかを考え、この部品をこう組み立てればムリ・ムラ・ムダをなくすことができますよと外部メーカーさんに提案したんです。例のスライド機構は、心配していた通り懸念材料に上がりましたが、なるべくもとのデザインを尊重できるように創意工夫しました。

横井お互い、良いモノを作るために手を抜かないだけであり、量産の事情はデザイナーも十分わかっているので折り合いはつけていきます。ただ、こだわった部分のデザインが残されているとうれしくなりますね。

中野もとのデザインも量産も、どちらも苦労して仕上げたデザイン。ですから見映え重視の展示会用は、なるべく元のデザインに近いモノを再現しています。そういうところが製作者たちのモチベーションを左右するものです。

横井逆に、限られたコストの中でいかに求められた機能を実現させていくかは開発設計の醍醐味とも言えます。

柿崎CoRoCoをバージョンアップするとしたら、最初から要件に入っていたブレーキを再度検討するのもいいかもしれませんね。どのような止まり方をさせるかでデザインも変わりますが、様々な角度からアプローチしてみたいです。

袴田CoRoCoに関しては、弊社のオリジナリティが活かされている部分が多く、喜ばしいことです。今後も弊社の知識技術でCoRoCoを成長させていくサポートができればと考えています。

(更新日:2020.08.28)
COMPANY DATA
株式会社日南

〒252-1125 神奈川県綾瀬市吉岡東1-14-13
TEL : 0467-78-8891

企業URL : http://www.nichinan-group.com/

提供技術

  • 開発支援(デザイン / CG制作 / 設計 / 部品製作 / 表面処理 / 車両製作 / プロトタイプ製作 / ロボティクス)
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