開発秘話

かわいいデザイン性と車体強度を高いレベルで両立させる構造設計に挑戦。

神峯電子株式会社[神奈川県]
量産向け車体設計 / 図面作成
  • 技術課
    片寄孝康

local_offer開発課題

いきなりのアクシデントを乗り越えて

今回、課せられたミッションは、CoRoCo構造設計と量産のための設計を同時に実現することでした。まずは、TBグローバルテクノロジーズ(以下、TBG)さんの要求仕様書の内容をしっかりと理解し、商品について明確にイメージすることからスタート。弊社は電子機器を中心に、設計・開発から組み立てまで一貫して対応しており、ロボティクスの共同開発に加わったことはあるものの、物流ロボットソリューションは初めての経験です。

狭い環境の中で物を運ぶとはどういうことか。機能として近い台車について情報を集め、そこから主に工場内で使用され、重量100kgにも耐えうる、それでいて、CoRoCoの特徴の、かわいらしいデザインを損なわない構造を導き出すことに注力しました。いちばん苦労したのは、プロダクトデザインを担当する(株)日南様と弊社の持っている設備やツールの違いから、3D CADのモデリングがスムーズに進まなかったことでしょうか。滑らかな曲面形状の構造を設計しようとすると何度もエラーに。お互いの仕事環境の違いを理解しておかないと、このようなことは起こりがちです。

最終的には、上司や同僚のアドバイスによって、ツールはそのままで、(株)日南様・ソフトウェア販売元・TBMさんなどと、細かくやり取りすることで社内外の知見を集結させて実行。おかげで、かわいらしいデザインを損なわない構造を導き出すことができたと思います。

local_offer開発工程

「より安全に」は、技術者としてのプライド

CoRoCoの積載可能重量は100kg。そのため、プラスαの安全率を考慮しつつ設計する必要がありました。この積載可能重量は、私にとって過去に経験したことのないほどの重さです。たとえCoRoCoが自分から衝突することはなくても、周辺で動いている台車が向かってくる可能性は否定できません。そう考えると、デザイン設計されてきた外側の樹脂パーツや内側の補強的な板金パーツなどについても、しっかり構成する必要がありました。

衝撃で壊れない強度を保つには、樹脂パーツやメインフレームの最適な厚みはどの程度必要か?しかし、調べようにも弊社には強度解析の環境がありません。TBGさんにご相談し、強度解析を依頼できたのは大変ありがたかったですね。おかげでこの解析データからメインフレームの板厚を決定することができました。

また、外観のデザイン性に影響はなく、しかも強度的にも問題ない樹脂内側のリブの厚みについては、樹脂パーツのサプライヤーである(株)柴田合成様の経験則から導き出していただくことに。次の工程として、各パーツでリブがどのくらい枚数が必要かになりますが、こちらは弊社で検討し、構成を決定しました。

すべてのプロセスでお客様に信頼されるように

CoRoCoが活躍するのは、工場などの物流現場がメインとなるはずですが、時には工場の外に出たり、隣接するビル内に入っていったりする場合もあるでしょう。温湿度の変化の激しい環境での使用も十分想定され、したがってどのような条件の厳しい環境下でも運搬品質を満たさなければなりません。例えばエアコンの効いた工場内から、一旦蒸し暑い外に出て、また室内に戻るといった使い方も考えられます。結露によって板金部分はサビが発生するのではないかという懸念も。これを解消するために、コスト面にも配慮して表面処理した鉄に置き換えた経緯がありました。

他のモノづくり同様、CoRoCo開発においても品質を追求するのは言うまでもありません。お客様に信頼されるためにも、故障率の低さや安全面への配慮はとても重要となります。TBMさんからは、車体重量を極力軽くしたいというご要望はありましたが、CoRoCoは100kgという重い荷物を乗せる台車。今回は強度面での品質を重視しつつ、安全面も確保して開発を進めました。

local_offer完成・未来に向けて

改良に改良を重ねても、尽きない技術者としての欲求

構造設計上の目標の一つであった強度については、ある程度確保しつつも、組立性や加工性はより作りやすいものを、と目指してモデリングしてきたつもりです。組み立てやすさは、すなわち製造コストのダウンに直結するものですし、あるいはメンテナンス作業で部分的にバラしたり、再度組付けが簡単にできることは、メンテナンスコストにも関わってくるでしょう。今後もコストダウンを視野に改良を進めます。

また、組み立ての順番については、順番を変えることで、作業効率がアップできる可能性があると思っています。最終的なモデリングが終了した時点で、当初構造設計上考えていた手順よりも、ちょっと変更した方が、組立作業がより効率的でスムーズに行くと判断しました。コストや量産化の効率をいかに高めていくかは重要なテーマです。ただし、あくまでも品質を確保するというのが大前提。「もっとこうすれば」「なぜやり直しになってしまったのか」など、今でも技術課の仲間との話し合いは続いています。妥協を許さず取り組んでいても、「これでOK」ということにはならないものです。

プレッシャーを感じつつ、社会が関心を持つようなおもしろい仕事を任されている喜びも感じています。それでもいろいろと改善したい箇所は尽きないのが技術者としての宿命なのかもしれません。

(更新日:2020.04.17)
COMPANY DATA
神峯電子株式会社

〒252-0815 神奈川県藤沢市石川5-1-5
TEL : 0466-88-0051

企業URL : https://www.shinpo-e.co.jp/

提供技術

  • 製造(電子機器製造)
  • 技術開発(組込ソフトウェア開発 / 電装設計 / 機械設計 / 試作)
  • 量産開発(組込ソフトウェア開発 / 電装設計 / 機械設計 / その他)
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