SEEDsブログ
SEEDsの活動schedule2022.01.17

農業の現場/オフロードで人の運搬作業を支えるロボット【CoRoCo-X-AG01】

地域との共存・共栄・共生をめざして

私たちSEEDsロボティクスGは、地域社会と連携し、地域社会に根差した活動を通じて、未来を生きる子供たちのために健全な現代社会をつくっていくことをミッションとしています。

近年“SDGs(持続可能な開発目標)”という共通認識のもと、持続的な社会づくりに取り組む動きが世界的にさかんになってきています。
そんな世の中の流れがあるなか、ことばが先行して活動がふんわりとあいまい(わかるようでわからないもの)になってしまわないよう、私たちはあくまでも“現場主義”を貫き、社会や現場の課題を自分たちの五感で感じ取り日々アップデートしたうえで、自分たちでミッションを理解・解釈し、計画・活動に落とし込んでいます。

豊かな「未来」はどんなもの? その「未来」のために「いまここ」をよりよくするためには?

自問自答とディスカッションを繰り返し、考えつづけ、実行しつづけること。ミッションを持続的に遂行するためには、このサイクルが不可欠です。
ここで注意したいのは、プレーヤーが「自分たち」だけでは、利己的な活動=世の中にとっては不要・無意味なもの になりがちということです。
そのため、プレーヤーには必ず現場=地域社会を巻き込むことが重要であり、「地域との共存・共栄・共生」は、私たちが世の中に必要とされる存在であるために欠かせないコア概念であり、めざすべき姿なのです。

農業の現場/オフロードで人の運搬作業を支えるロボット

地域との取り組みの一環として、山口県農林総合技術センター、山口東京理科大学と、産学公連携によるスマート農業共同実証研究をおこなっています。

農業従事者の平均年齢が全国トップである山口県。
同県の梨の生産現場に運搬支援ロボットを実装することにより、高齢者をはじめ力の弱い作業者、作業に慣れない新規就農者など、だれもが安心して安全に簡単に重量物運搬をおこなえる環境をつくる。そして、持続可能な農業の一助になることを、本共同研究で目指しています。

■詳細はこちら 
・プレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000068385.html
・共同研究プレゼンテーションセミナー https://youtu.be/ohZwx_yqF98

ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、農作業の現場、特に路面・足回りは、人が歩いたり、猫車(一輪車)をつかったりするには決して良い環境とはいえず、それだけでも作業者への負担が大きくなります。さらにその状態が農家ごとにまったく異なるなど、定形の枠やパターンに当てはめて考えるのが難しいです。

Young woman harvesting fresh seedlings. Lady in a hat. Girl in a garden.

本共同研究では、「そんな農業の現場で本当に役に立てるものとはなんだろう?」を考えた結果、現場に受け入れられやすいもの、つまり、「わかりやすい」「すぐにつかえる」「すぐ効果がわかる」もので、まずは現場でつかってもらうことからスタートし、農家さんの声を聞きながらステップを進めていくことにしました。

ここで、CoRoCoの特長「だれでもつかえるシンプルさ・わかりやすさ」と「人の歩行速度にぴったりついていく従順さ」が生き、さらに轍・砂利道などがある屋外不整地での走行と重量物運搬に耐えうる車体とパワーを備え、研究向けに開発されたのがCoRoCoの-X-AG01(コロコ・クロス・エージーワン)です。

<基本仕様> ※実証試験向け開発品の仕様です。
サイズ:D1,600 × W800~840 × H630 ㎜
可搬重量:MAX120㎏
登坂能力:23度
段差乗越:100㎜

<特長>
・スピード調整いらず
・轍・砂利道などがある不整地を走破するパワフルさ
・MAX120㎏を免許なしで人の手で運べる運搬能力
・エンジンではなく電動なので静音・スムーズ走行・低コスト
・安心感を与え、使うのが楽しみになる愛らしいフォルムと動き

<特長を実現する技術>
① TFS(テザー・フォロイング・センサ)
テザーの引き出し量と引き出し角度を検知しています。
設定したテザー長さに追いつこうと走ります。

② 後輪サスペンション機構(独立懸架式)
左右の車軸が独立して上下する独立懸架式構造で、路面の凸凹に後輪がしっかり接地することにより衝撃や振動を吸収。安定性が増して使う人も安心ですし、なにより、果実などの大事な荷物を落下・損傷から守ります。

③ デザイン
私たちはデザインを大切にしています。その理由は単純で、使う人に気持ちよく安全に仕事をしてもらいたいから。そして、つくり手の想いを伝えるため。
X-AG01においては、山口県の資源のひとつ “竹”をコンセプトに、強さとやさしさを表現しています。収穫後そのままマルシェに持ち込んで店頭に置きたくなる愛らしさもこだわりました。
見た目で直感的に使い方がわかるため、誤操作等のヒューマンエラーを防ぎ安全性を高めます。また、大きいのに安心感があるのは、丸みを上手に取り入れているからです。
作業者に安心感を与え、作業の安全性・効率を向上させることも、デザインの大きな役割のひとつなのです。そのため、多様なユーザが想定される農機具にとっては、より重要な要素なのです。

<使用方法>
使い方はCoRoCo-S100とまったくおなじで超簡単。電源スイッチを押して起動させ、テザーの長さを設定し、あとはテザー操作で走らせるだけ。

X-AG01初見の農家の皆さんも、ものの15分でつかいこなします。

<活用方法・用途>
四季折々で環境と作業が変わる農業の現場では、その時々で運ぶものも変わってきます。
年間を通してさまざまなものを運搬する場面で、X-AG01は活躍します。

■収穫・出荷

■剪定

■肥料施用

■草刈・除草

■その他

<手入れ>
まるごと水洗い可能です。
実証試験でも泥だらけになったので、試験場のホースで丸洗いしました。

X-AG01が描く未来

ここまでお読みいただいてわかるように、X-AG01は、いわゆる自律走行ロボットではありません。文字通り人の手を取って、人と融合し共存しながら仕事をサポートします。

大きくて扱いが難しい運搬車両をつかわずに、女性や高齢者、力の弱い人、機械の苦手な人でも、だれでも安心して重量物を安全に簡単に動かせて、しかもすぐに使い慣れることができる。作業者は受け身ではなく能動的につかうため、その効果を肌で実感できて、つかってうれしい・楽しい。

ロボットの存在意義が、必ずしも「効率化」「省人化」である必要はないのかもしれません。
X-AG01の存在により、よりよくなるのは農業だけではないと見ています。

林業、土木・インフラ・建築・建設業・・・。
農業とはまた異なる屋外の過酷環境でも、役に立っているところがイメージできます。

ただし、私たちの力だけでやりきれるとは思っていません。
新しい境地を開きつつあるこの運搬支援ロボットに共感していただける方々と、新しい未来をつくっていきたいと思っています。

ご意見・ご感想はこちらから

私たちSEEDsロボティクスGでは、よりよい活動のため、みなさまのご意見やご感想をお待ちしております。
お問い合わせまたはメール(support@seeds-robotics.jp)よりご連絡ください。

商品に関するご質問や
お見積りのご相談などありましたら
お気軽にご連絡ください。

chevron_rightお問い合わせはこちら